バーテンダー×アートディレクターによる「enwonder」、
プレミアムリキュールの先に目指す美食体験。- 後編 -

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バーテンダー×アートディレクターによる「enwonder」、
プレミアムリキュールの先に目指す美食体験。- 後編 -

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モリユウスケ/Mori Yusuke、上杉竜也/Uesugi Tatsuya、西村和也/Nishimura Kazuya from「enwonder」

奄美大島の黒糖焼酎をベースに、これまでにないプレミアムリキュールをローンチしたユニット「enwonder」。3人が目指す”これまでにない”飲食体験とは?

文:Ryoko Kuraishi

奄美大島の生産者のもとを訪ねる西村さん(左)と上杉さん(右)。

アートディレクターのモリユウスケさん、調合師の上杉竜也さん、バーテンダーの西村和也さんからなるクリエイティブユニット、「enwonder」が初めて手がけたオリジナル商品、プレミアムリキュール「No.01 Coffee」と「No.02 Botanical」。

9月下旬、奄美大島にある「UNION」という複合施設で行われたローンチイベントには、生産者やさまざまな飲食店関係者が集まった。

当日は「No.01 Coffee」「No.02 Botanical」をベースにした8種のカクテルと2種のモクテルを作成。

それぞれのリキュールのよさをシンプルに表現したサワーのほか、「Botanical」にグァバやパッションフルーツを合わせたもの、「Botanical」×半発酵ほうじ茶のハーバルなお茶割り、「Coffee」に奄美コーヒーミルクと島バナナ、黒糖を合わせたものなど、奄美産の素材をふんだんに使ったカクテルが好評を博した。

奄美「UNION」で開催したローンチイベントで提供したカクテル「TKコリンズ」。「Coffee」に富田酒造場のタンカンリキュールを合わせ、ソーダでアップ。隠し味に島みかんを効かせた。

「ホテルバーの関係者から焼酎を扱う懸念材料として、焼酎の原価とカクテルとして提供する価格帯のバランスが悪いという声を耳にします。

リキュールにすることでプレミア感が増して価格バランスが整い、普段焼酎を飲まない人の心理的なハードルも下げることができると思っています。

すでに奄美大島内のホテルでの取り扱いが決まっていますが、今後、東京や京都など都市部のバーやホテルに働きかけたいと考えています」(上杉さん)

スピリッツと比べるとアルコール度数が低い焼酎は、カクテルベースとしての難しさがあるが……。

「焼酎と同じアルコール度数帯で冒険することにロマンを感じたのと、ローアルコールが求められるいまの時代にマッチすることから、リキュールで勝負しようと考えました。

バーやホテルだけでなく、カフェのようにカジュアルにドリンクを提供する場にもアピールしていきたい」(西村さん)

「飲食店だけでなく、インテリアやアート&カルチャー系のショップなど、これまでリキュールを扱ってこなかった店舗に置いてもらってもおもしろいと思います。

飲食のプロフェッショナルだけでなく、焼酎とリキュールの違いがわからない方にも興味をもって手に取ってもらえたら、焼酎に対するイメージが変わっていくはず」(モリさん)

左:カシャの香りを嗅ぐ西村さん。右:島内で栽培が始まったバニラ。今後、「Botanical」に使われる予定だ。

そんな3人に、これから「enwonder」として挑戦してみたいことを聞いてみた。

「ローンチしたばかりの奄美大島シリーズをたくさんの人に届けていきたいと思っていますが、そのためにもいずれはメインの拠点を持ちたいと考えています。

製造の現場でありながらラボの機能をもち、ポップアップイベントなんかも開催できて、裏には畑があってボタニカルを栽培して……。自分たちの好奇心を膨らませながら、新しい領域に踏み込んでみたい。

たとえば、介護食をおいしく楽しくアップデートしてみたり、旅行会社と手を組んで、食体験主体の旅を企画してみたり。食を起点に考えると可能性が広がります」(モリさん)

「ミニシアターと手を組んで、映画に合わせた飲食をプロデュース。味覚・嗅覚と視覚・聴覚をかけ合わせることで、映画鑑賞体験をさらに掘り下げることができそう」(西村さん)

奄美大島の特産といえば、やっぱり黒糖。「水間精糖」の黒糖はサトウキビを絞ったジュースを丁寧に煮詰め、火加減を調節しながら水分を飛ばして造られる。製造後、鍋に残った黒糖の水分を極限まで減らし、ヘラで掻きとる鍋かき黒糖には旨みが凝縮されている。

「enwonder」として共有する開発コンセプト(“Playful Food Culture!”)に対する解釈はそれぞれ異なるけれど、だからこそ多彩な領域での活動ができるのかもしれない。

「プレイフルとは、自分たちがワクワクしながらものづくりができること、素材同士が生み出す一体感を、遊び心をもって届けていくこと、新しい食体験を導くプロダクトを、という意識です。

そこが共通しているから、一つの方向性に向かうことができると思っています」(モリさん)

「それと同時に、次の世代によりよいものを渡していくという責任感を持ちながら、日本各地に眠っている飲食のさまざまな可能性も発掘していきたい」(上杉さん)

「趣味嗜好も興味の対象もみんな違う」という3人。例えば、それぞれのインスピレーション源についても……

ブエノスアイレス発のパフュームブランド、『フエギア 1833』の調香師、ジュリアン・ベデルさんのクリエイションや考え方にも影響を受けていますし、ファッション、建築、アートなどさまざまな領域のクリエイターに刺激を受けています」(モリさん)

「お茶やお花など、日本らしい文化に携わっているプロたちからも学びを得ています」(上杉さん)

「音楽などカルチャー系のクリエイター」(西村さん)

こうした違いが、チームワークとしての厚み、深みになっていくのだろう。

バーやレストラン、ショップという垣根を超え、飲食体験をより豊かなものに深化させようと試みる「enwonder」。

まずは奄美大島シリーズから、3人のものづくりのポテンシャルをお試しください!

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