バーテンダー×アートディレクターによる「enwonder」から
奄美大島発、黒糖焼酎ベースのリキュール誕生。- 前編 -

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バーテンダー×アートディレクターによる「enwonder」から
奄美大島発、黒糖焼酎ベースのリキュール誕生。- 前編 -

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モリユウスケ/Mori Yusuke、上杉竜也/Uesugi Tatsuya、西村和也/Nishimura Kazuya from「enwonder」

バーテンダーによるものづくりが多様化・進化するなか、またまた新しいチームが誕生!バーテンダー×アートディレクターによるクリエイティブユニット「enwonder」が目指すのは、遊び心ある飲食体験の探求だ。プロダクト第一弾となる、奄美大島の黒糖焼酎から生まれたプレミアムリキュールの誕生の裏側をレポート。

文:Ryoko Kuraishi

10月1日に発売されたばかりの「No.01 Coffee」¥7,700と、「No.02 Botanical」¥6,600。まずはストレートで、好みでロックやソーダ割り、「Coffee」なら牛乳割りでも。もちろんカクテルにも!

「enwonder」はアートディレクターのモリユウスケさん、「調合師」としてドリンクのディレクションなどを行う上杉竜也さん、バーテンダーの西村和也さんによるクリエイティブユニット。

モリさんは東京、上杉さんは京都、西村さんは野沢温泉と、それぞれ異なる拠点で活動している。

「ソムリエでもありホテルバーでキャリアを積んだ上杉、バーテンダーとして経験豊富な西村、そしてアートディレクターとしてクリエイティブ全般を統括する僕と、それぞれの得意分野を生かして役割分担をしています。

得意分野も拠点も異なるからこそ、互いに刺激し合って機能している。それが『enwonder』の強みです」(モリさん)

“Playful Food Culture!”をテーマに、遊び心ある飲食体験の探求を目指して結成された「enwonder」。

アパレルブランドや食品メーカー、商業施設などとタッグを組んで、コンセプトメイキングからメニュー開発、空間設計までを幅広く手がけてきた。

モリさんと上杉さんが瀬戸内国際芸術祭で行ったドリンク×アートの体験型プレゼンテーション。架空の小説を作り、その小説をテーマにオリジナルドリンクを作成。味覚を起点に、架空の小説の中身を想像してもらうという作品だった。

ユニット発のオリジナル商品として開発をスタートしたプレミアムリキュール「No.01 Coffee」と「No.02 Botanical」が、10月1日に発売となった。

ベーススピリッツはどちらも富田酒造場の「龍宮」。沖縄産黒糖と国産米麹を用い、昔ながらの大がめで仕込まれている黒糖焼酎。

そのほかの素材も、奄美大島の生産者との出会いによってもたらされたものだという。開発の背景を聞いてみた。

「そもそも黒糖焼酎は奄美群島のみで造られているもので、島の風土や魅力が凝縮されています。

それまで馴染みの薄かった焼酎ですが、蒸留所を訪ね、造り手から黒鳥焼酎の歴史や文化を説明してもらい、焼酎に対するイメージが大きく変わりました。

過去から未来へと焼酎造りの歴史をつなぐ昔ながらの製法を間近にして、こうしたストーリーや黒糖焼酎の魅力を新しい形で紹介したいと思うようになった--というのが開発の背景です」(西村さん)

バーテンダーとしてのスキルや経験を生かし、調合師としてさまざまなドリンクを生み出している上杉さん。

奄美大島で口にした「龍宮」は3人に鮮烈な印象をもたらしようだ。

「炒ったナッツのような香ばしさとどこか懐かしい甘み、そしてキレの良さ。黒糖焼酎がこんなにおいしいなんて知らなかったんです。

それなのに産地では、『中高年以降が飲むお湯割り』というイメージが強すぎて次の世代に魅力が伝わっていないと聞きました」(上杉)

黒糖焼酎が抱える課題を前に、20代・30代に黒糖焼酎の魅力を伝えたいと生み出したのが、プレミアムリキュール「No.01 Coffee」と「No.02 Botanical」だ。

左:ベーススピリッツの「龍宮」。右:山間部の寒暖差を利用して栽培される「見里農園」のタンカンは、酸味と甘みのバランスが秀逸!「Botanical」に使われているボタニカルのひとつ。

「Coffee」は、奄美大島産のコーヒーチェリーとコーヒー豆、鍋かき黒糖、島を代表する薬草であるカシャ(クマタケランの葉)、バニラに喜界島産の粗糖を。

「Botanical」は島内産レモンの葉、カシャ(クマタケランの葉)、バニラ、タンカンのシロップをベーススピリッツに漬け込んだ。

バニラ以外の素材はすべて奄美群島産のもの。

奄美産のフレッシュな素材を掛け合わせることで、ベースとなる「龍宮」の魅力を際立たせるユニークなリキュールに仕立てた。

奄美大島での素材探しではソロ活動も多かったというが、それぞれ得意領域が異なる3人のユニットだからこそ、ありきたりでないレシピが生まれた。

奄美大島のジャングルで、農薬を使わずに栽培されている「栄農園」のコーヒーチェリー。一粒一粒手摘みされるコーヒーチェリーは野生味あふれる力強い味わい。

「おもしろいのは、現地に赴くと次々にすばらしい生産者と繋がれたことです。まさに、奄美の縁(en)の導きを実感しました」(上杉さん)

「開発当初、コーヒーチェリーとコーヒー豆は海外産を使う予定でいましたが、奄美のジャングルでコーヒーチェリーを自然栽培&ハンドピッキングする生産者さんとつながってしまったんです。

飲んでみたら力強いフレーバーと深い余韻があって、爆発的においしかった。コストはかかるけれど、ぜったいにこのコーヒー豆を使いたいと思って。

バニラも島内で栽培が始まっており、いずれ全量を島内産に切り替える予定」(西村さん)

いずれの素材も、生産者が大変な手間暇をかけて作り出しているもの。その良さを引き立て、奄美の風土を映し出すということを念頭に、レシピを作ったという。

後編では、東京で開催した試飲会の様子から、今後のリキュールの展開などをお伝えします。

後編に続く。

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